第97章 遅れてきた贈り物

杉浦杏奈はソファに身を沈め、顎を上げて彼を見上げていた。灰原仁司のネクタイは片側にずれ、シャツは彼女の手でボタンが三つ外されている。鍛えた胸板が、あらわだった。

杏奈は指を伸ばし、ベルトのバックルに引っかけてぐいっと下へ引く。二人の身体が、隙間なく重なった。

灰原仁司は彼女をソファの肘掛けにうつ伏せにさせた。杏奈の頬がクッションに沈み、腰のあたりを片手でがっちり掴まれて、持ち上げるように位置を直される。

その体勢だけで、胸の奥がぞくりと熱くなる。

灰原仁司は保守的な男だ。自分から体勢を変えることは滅多にない。いつだって、彼女が誘導しなければならなかった。

それなのに、今日は違う。

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